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会社設立時の資本金はいくらが最適? 

1円設立はおすすめしない~

札幌で会社設立業務に取り組んでいますが、会社を設立する際によく聞かれるのが「資本金はいくらにしたらいいか」という点です。株式会社の場合、旧商法の時代においては最低資本金制度があり、会社設立時において資本金は1000万円必要でした。一方で、現在の会社法において最低資本金制度は廃止されているため、資本金は1円でも会社設立ができてしまいます(注)。このような事情から、会社設立時の資本金はいくらがいいのか、という疑問がわいてくるのです。

(注)理屈からは資本金はゼロでも構いませんが、株式会社の設立において金銭出資を行う場合、資本金ゼロでの設立はできません。会社設立登記を申請する際の添付書面として「出資金の払込みを証する書面」を作成することができないためです。

資本金は登記され、「公示」される

株式会社の資本金は、登記されます。登記されるということは、会社の登記事項証明書を取得したら、登記事項証明書に「資本金〇〇円」と記載されているということであり、その会社の資本金がいくらであるかは一目瞭然です。そして登記事項証明書は会社とまったく関係のない人でも取得することができるため、設立した会社の資本金は世の中に知れ渡る可能性があるのです(登記された事項は誰でも見られるという意味で、登記されることは『公示される』と表現します)。

資本金は「会社の信用力」を示すという世の中の意識

たとえば、設立されたばかりの札幌市中央区にある札幌商業株式会社という会社があるとします。登記事項証明書を取得したら、「資本金1円」と登記されていたとしましょう。この記載を見て、どのような印象を受けるでしょうか?

会社法の知識がない一般の方がこの登記事項証明書を見たら、札幌商業株式会社と取引をしたいと思うでしょうか。「資本金1円」という記載を見たら、通常であれば取引をしたくないと思うのが通常ではないでしょうか。

株式会社の「資本金」は、旧商法時代は会社の信用を示すものでした。資本金は大きければ大きいほど信用のある会社で、事業を行うにあたって有利になるものでした。

しかし平成18年の会社法改正によって、資本金についての考え方がまるで変りました。資本金は会社の信用を示すものではなく、単なる数値にすぎません。過去に株主が払い込んだ額のトータル(払込額のトータルにならない場合もありますが)にすぎないという発想に変わったのです。

しかし、会社法の資本金に対する考え方が変わっても、世の中の人々の意識が急に変わることはありません。「資本金が大きい=信用できる会社」「資本金が小さい=信用できない会社」と判断されることは、世の中においてまだまだあるのです。

資本金が少額だと、融資を受けられないことも

会社を設立して時間が経っていないタイミングでは、資金が不足することだってあるでしょう。設立した会社を大きくするためには、金融機関から融資を受けて、事業に投資をしたいと考えるのは通常のことです。

では、設立したばかりの創業間もない会社が、いくらの融資を受けることができるのか、考えたことがあるでしょうか。

一般的には、創業融資は自己資金の2倍程度です。会社の自己資金というと、設立したばかりの会社であれば「資本金」が自己資金の額になります。

資本金があまりにも少額だと、創業融資を受けることが難しくなります。資本金1円で会社を設立した場合、数百万円の融資を引き出すことは困難だと思った方がよいでしょう。資本金(自己資金)があまりに少ない状態で数百万円の融資を受けることが仮にできると、目的外に使用される恐れがある、金融機関はこのように考えているのでしょう。

設立する会社の資本金はいくらが妥当か

会社設立において、設立時の会社の資本金はいくらが妥当なのか、この点については一律の答えはありません。設立する会社が行う事業や目指す姿によって、答えは変わるでしょう。

しかし「目安」はあると考えます。札幌で会社設立業務に取り組む当事務所では、目安として下記をご案内するようにしています。

1:節税目的や対外的な取引が少ない会社を設立する場合 → 資本金は1030万円程度

2:対外的な取引を行い、事業を大きくしたい会社を設立する場合 → 資本金は100万円程度

資本金は大きいほど信用を得られるという点は昔から変わらないため、資本金はあまり少額にしない方がよいでしょう。一方で最低資本金制度が廃止されている昨今においては、あまり深く考えることなく、少額で会社を設立する人もいます。

このような状況からいうと、会社設立時の資本金は100万円程度で「格好がつく」といえます(300万円や500万円を設立時から資本金として用意する人は、あまりいません)。したがって、設立時は100万円程度の資本金があれば、事業を行うに支障は生じないと一般的には言えるでしょう。

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