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第三者に会社設立資金を用意してもらう際の注意点
札幌で会社設立業務に取り組む当事務所には、様々なご相談がございます。先日受けた相談として、「親や兄弟などの第三者に、会社設立の資金を用意してもらおうと思いますが、注意点はありますか?」という質問がありました。会社設立において第三者に資金を用意してもらう際の注意点や方法など、札幌で会社設立・法人化の業務に取り組む専門家が解説します。
このテーマで解説を始める前に、知って欲しいことがあります。
それは、会社法上、会社は株主(出資者)の所有物だという点です。「会社は誰のものか」という論点については、「社会のもの」「顧客のもの」といった模範解答(?)が散見されますが、会社法上は、まぎれもなく会社は株主のものに違いありません。
その証拠に、会社の行く末を決める重要事項は、株主の集まりである株主総会で決めるものとされています。会社が合併する、役員を増やす、解散して消滅する、いずれも株主総会で決めるものなのです。
誰が株主になるのか
では、誰が株主になるのでしょうか。
それは、会社に「出資」をした人です。出資は金銭と金銭以外の現物でする出資がありますが、以下では金銭出資を前提にお話しをします。
出資とは、誤解を恐れずにいうと、会社が行う事業の資金を出すことです。そして重要なのは、出資に該当するならば、出したお金は会社のお金になり、株式会社においては会社から出資者にお金を戻すことはありません(株式会社の場合)。
設立時にお金を出すというと、通常はこの「出資」を意味するのが通常です。しかしながら、第三者にしてもらった出資の額・割合が、あなたよりも大きいものであるならば、第三者の方が会社に対する影響力が大きくなってしまいます。株主総会における議決権行使を通して、第三者が会社を支配することだって可能になってしまうのです。
第三者に資金を出してもらう形態
会社設立において、第三者に資金を出してもらう際は、以上の点を踏まえ、次の形態があるでしょう。
1:第三者に出資してもらう。ただし、第三者よりも自分の出資額を多くする。
2:第三者に出資をしてもらうが、第三者が持つ株式を議決権制限種類株式にする。
3:第三者に設立した会社に融資をしてもらう。
4:第三者に、出資者個人に融資(又は贈与)をしてもらう。
以下において、順に解説します。
第三者に出資してもらう際には、設立した会社における議決権割合を気にする必要があります。
株主総会では、決定事項の重要性によって、決議要件が異なります。通常の事項は、株主総会の普通決議といって、簡単にいうと議決権の過半数の株主で決定することが可能です。一方で、より重要な事項は特別決議といって、簡単にいうと議決権の3分の2以上の割合の株主が賛成しなければ成立しません。
このような株主総会の決議事項を前提にすると、自分自身の議決権比率は全体の3分の2を確保したいところです。第三者から出資してもらうとしても、できるだけ自分自身が多くの額を用立てるように努めることをおすすめします。
会社法においては、「議決権制限種類株式」の発行が認められています。
議決権制限種類株式とは、株式であるものの、株主総会で議決権を行使することができない株式です(一方で設立した会社で利益が計上された場合には、その株式を有する株主は配当を受けることはできます)。
この議決権制限種類株式を活用すれば、親や兄弟などの第三者が自分自身よりも多くを出資する場合にも柔軟に対応できます。たとえば札幌市中央区で札幌商業株式会社を設立するとして、自分が10万円を、親が90万円を出資する場合に、親が持つ株式を議決権制限種類株式にするのです。すると、割合として10%しか出資していない自分が、議決権のすべてを持つことになり、株主総会の運営がスムーズになるのです。
第三者がお金を出すという場合、何も「出資」にこだわる必要はありません。お金さえ出してもらえればいい、というのであれば、「融資」という方法もあります。つまり設立した会社が、その第三者から借金をするのです。
たとえば札幌市中央区において、札幌商業株式会社を設立したとします。会社設立後、第三者と金銭消費貸借契約を締結し、融資をすれば、設立した会社に資金が注入されます。
注意点は、融資はあくまで融資であって、注入された資金は返済しなければならない点です。出資として資金が入ればその資金は会社のものですから返済の必要はありませんが、融資ではそうはならない点に注意が必要です。
自分自身が100%出資の株主になるために、親などの第三者から、自分自身(個人)が融資を受ける方法があります。出資金は自分の貯金から出さないといけないというルールはありませんので、借金をして出資金を確保することだって認められているのです。
あるいは、出資金を確保するために親などに出資金となる資金を贈与してもらう方法だってあるでしょう。ただしこの場合は、贈与税が課税されることがありますので注意が必要です(2022年時点においては年間110万円までの贈与は非課税ですが、将来においてこの取り扱いはなくなる見込みです)。
以上のように、「第三者にお金を出してもらう」といっても様々な方法があります。札幌・札幌近郊で会社設立・法人化を希望される方は、ぜひ当事務所にご相談ください。会社設立・法人化のプロが親身に対応します。
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